水地帯・河川流水の鳥

コガモ

コガモのペア コガモ泳ぐ
成鳥冬羽  2001. 2. 3 千葉県
左メス、右オス 
コガモ
種 名 カモ目/カモ科/コガモ 小鴨 Anas crecca Green-winget Teal
時 期 冬鳥。中部地方以北では少数が夏鳥。
形 態 日本産の最も小形のカモ。
    L 380mm 嘴峰31-41mm 翼長160-194mm  尾長62-72mm ふ蹠27-30mm.
    雌雄異色  夏冬異色。
    オスは、頭、頸部が栗茶色で、眼の周囲から後頸にかけて暗緑色で金属光沢の幅広い線がある。
    背と脇は、一面に白と黒との波状斑があり、背と下面の堺に縦線がある。 胸は黄褐色で、多数の黒く丸い斑がある。
    翼鏡は金属光沢のある緑色。 下尾筒に黒ふちの黄色(クリーム色)がある。 嘴は黒色。
    メスは、上面が黒褐色に黄褐色の斑があり、下面は白地に黒褐色の斑がある。
    鳴き声:「ビロッ ピロッ」と二声鳴くことが多い。 
生   態
分 布 全北区。
    ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の中・北部に繁殖分布し、冬は両大陸南部へ渡って越冬する。
    日本では、冬鳥として各地に渡来して越冬する。ごく少数が北海道や本州の山岳地で繁殖する。

生息地 冬は、河川、湖沼、ダム湖、水田などの淡水域に多く、ヨシなどが生える岸辺近くの水草の間にいることが多い。
    繁殖地では、ツンドラから森林地帯など、ゆっくり流れる河川、湿地の湖沼群などで草や藪の多いところを好む。
採 食 雑食性。 植物食。 狩猟に脅えるため、夜間に採食することが多い。
    湿地や水田を歩きながら採食したり、水面を泳ぎながら岸辺の水草の間の植物質を嘴で、こしとって食べる。
    草の種子、葉、茎などが主食。

繁 殖 繁殖期は、5-7月。 一夫一妻。 つがいは10月から翌年6月に形成され、抱卵期に解消する。
    巣づくり: メスのみでつくる。 草地の窪みに巣材の草木の葉を敷き、皿形の巣をつくり、
    メスの胸・腹の綿毛を敷いて産座をつくる。
    産卵: 1巣卵数、8-10個。
    抱卵: メスのみで抱卵する。
    孵化: 孵化日数: 21-22日で孵化。
    育雛: 雛は幼綿羽に覆われている早成性の離巣性で、メスのみで雛への給餌などの子育てをする。
    雛は25-30日で独立する。

    繁殖期は、つがいで分散するが、集団営巣状にならない。
    冬は大きな群れで生活・休息する。
    越冬地では、秋から春、求愛のグループディスプレイが行われる。
    水面に複数(2-7羽ほど)のオスが、メス1羽の周りを泳ぎ回り、「ビロッ ピロッ」と発声しながら首を伸び縮みし、
    尻を上げ、下尾筒の黒縁の黄色をメスに見せつけるディスプレイをする。
    求愛行動の一連の動作は、マガモよりコガモのほうが強調されている。
    暖かい日は、求愛行動が頻繁に行われる。

コガモの採食生態
水面を泳ぎながら岸辺の水草の間の植物質を嘴で、こしとって食べるオスと、羽づくろいをしているオス。
眼の周囲から後頸にかけて暗緑色で金属光沢の幅広い線は、光線の当たり具合で緑色あるいは青く見える。
浅いところの植物質は、泳ぎながら採食するオス成鳥。
やや深いところにある植物質を、逆立ちして採食するオス成鳥。
およぎながら、水中の植物質をこしとって食べるメス成鳥。
夕日に映える池を泳ぐ... 夜はカモの食事時。

コガモのディスプレイ
相互ディスプレイ

オス・メスがお互いに首を斜めうえに上げ、しかもお互いに反対方向を向いているが... オスがメスに求愛している。

コガモの求愛 ディスプレイ 【取り囲み】【水かけ】【そりちぢみ】
越冬地では、秋から春、
求愛のグループディスプレーが行われる。

【取り囲み】
水面で複数(2-7羽ほど)のオスが、メス1羽の周りを泳ぎ回る。
そりちぢみ・伸び縮み
そりちぢみ・伸び縮み  1月撮影
【水かけ】から【反り縮み・伸び縮み】
オスが嘴でメスに水をかけ、頭を急に上げて反り縮みし、尻を上げるディスプレーをする。
「ピロッ ピロッ」と発声しながら首を伸び縮みし、尻を上げ、尾筒の黄色(クリーム色)をメスに見せつけて、
求愛のディスプレイをする。
オスのグループがメスを追い回し、
やがて、メスを取り囲んで周りを泳ぐ。
気に入ったメスを追い回したり、嘴でメスに水をかけたり、尻の黄色い羽をメスに見せつけて気を引かせる。
コガモの求愛 ディスプレイ 一連の動作
オスは気に入ったメスに近寄る
オスは自分の胸を覗き込むように頭を下げ...
頭を左右に振りながら、メスに水をかける。 このディスプレーは、「ゲップ」と呼ばれている行動。
そして、頭を急にもちあげて体を反らす。 伸び上がるようにして尾筒のクリーム色の羽をメスに見せつける。
体を反らした後、首を前方に伸ばして左右に振る。
オスは、ふつうの姿勢にもどり、尾筒の黄色い羽を激しく左右に振って、
メスの気を引くが、メスがオスの求愛ディスプレイを見ていないときは、
オスのディスプレイはここで終わる。
メスがオスの求愛に気を引かれているときは、次の行動をする。
オスは尻をあげ、体を急に縮ませて.....
メスの気を引き寄せるため、翼鏡の金属光沢のある緑色羽と下尾筒の黄色い羽をメスに見せつけて求愛する。
メスはオスの求愛ディスプレーを、ここまでじっと見ていた。
オスは求愛のディスプレーが終わると、メスのほうを向いて反応を伺う。
だが、メスは顔をそむけた..... このオスに気がないらしい。
オスは、メスをしつこく追わず、相手を探しに行く。
ペアとなるのは、越冬地もしくは繁殖地へ移動中。

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