三番瀬(Sanbanze)潟  海岸線・岩礁地の鳥

キョウジョシギ

キョウジョシギ 採食中
写真手前が成鳥メス、色の鮮明なほうが成鳥オス
2002.04.24 三番瀬
キョウジョシギと爪を振りかざして威嚇するカニとが「にらめっこ」
キョウジョシギはカニを食べずに去った  2002.04.24
キョウジョシギ
種 名 チドリ目/シギ科/キョウジョシギ 京女鷸* Arenaria interpres Turnstone
             *京女鷸と呼ばれる和名の由来は、京の女が着る派手な着物のようなので...。
時 期 旅鳥。 東海地方以南で少数が越冬。
形 態 L 220mm 嘴峰20-25mm 翼長146-162mm  尾長57-69mm ふ蹠23-26mm.
    雌雄ほぼ同色。 夏冬異色。
    光彩は黒色。 嘴は黒く、基部が太めで、やや上に湾曲している。 脚は短いが、きれいな橙黄色。
    夏羽、背は茶色に黒色のまだら。額の黒線は眼の下を通り、顎線とつながって下喉、胸の黒帯につながる。
    頭上は白と黒の縦斑があり、下背、腰、喉、胸から下面は白色。上尾筒は黒色で先端は白色。
    尾羽は基部から半分と先端が白く、黒帯がある。 メスは背の黒色がオスより少なく、背の茶色が淡い。
    冬羽は、上面、顔、胸が黒褐色で、背の茶色がない。
    鳴き声:「キリリッ」 
生   態
分 布 全北区。
    ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏、環極地方に繁殖分布し、冬は赤道周辺の各地に渡って越冬する。
    日本では、8-10月、4-6月、旅鳥として全土に渡来する。 小笠原諸島、南西諸島で少数が越冬

生息地 渡り期や越冬地では、主に海岸で生息する。まれに内陸の河川で見られる。
    海岸では岩石地、砂利地を最も好むが、海岸の砂浜や河口の砂泥地でも見られる。
    繁殖地では、極地の海岸や島嶼に生息し、岩石地、砂利地、砂泥地、入江、河口、潟湖などで見られ、
    特に、水辺や湿地の近くに岩石、泥、砂利が不規則に混じっているところを好み、その中の乾燥地で営巣する。
採 食 海岸の砂地、干潟などの水辺を活発に動き、湿地の地表から採食したり、石や木片を嘴でひっくり返して採食する。
    繁殖地では、双翅類の昆虫やクモ類などの動物質、イネ科の種子などの植物質も食べる。
    非繁殖地では、ヨコエビ類、カニ類、フジツボ類などの甲殻類、貝類、ゴカイ類などを食べる。

    二枚貝を開くとき、貝殻をいろいろな角度から嘴で突っついて、こじ開ける。
繁 殖 繁殖期は、5-7月。 一夫一妻。 つがいは縄張り分散する。
    営巣はツンドラ地帯の小丘で、矮性灌木がまばらに生えている荒れ地状の草地に営巣する。
    巣づくり: メスが巣をつくる。 地上の浅い窪みにヤナギ類の枯れ葉を巣材に敷いて巣をつくる。
    産卵: 1巣卵数、3-5個、ふつう4個。
    抱卵: 雌雄で抱卵し、22-24日で孵化する。 雛は早成性の離巣性。
    育雛: 雌雄が給餌して子育てをする。 雛は生後、19-21日で独立する。

    非繁殖期、群れで過ごす。 日本では2-20羽ぐらいの群れで、ヨーロッパでは5,000-1万羽の大群。
    縄張りの広さは、海岸地域ほど高密度で100平方メートルに6-7つがい。
    縄張り防衛は、つがい形成から雛が孵化するまで防衛され、家族群れは縄張りの境界にこだわらない。


    ディスプレイは、グランドディスプレイとフライトディスプレイをする。
    フライトディスプレイは、メスの上空10-50mで円を描いて飛びまわってさえずる。
    ゆっくりした深い羽ばたきをして終わると、突出したところに止まって、3分間もさえずりつづける。
    オス同士の争い時には、1km以上も空中で追撃する。

    求愛のディスプレイは、グランドディスプレイをする。
    オスが猫背のポーズで翼を下げ、尾羽を下げてメスに近づく。
    つがい形成時には、オスが地上に巣の窪みをつくるスクレイピングディスプレイをする。
キョウジョシギの採食行動

キョウジョシギは石をひっくり返す 力持ち
キョウジョシギが重たい石を、くちばしで「ヨイショ」っと ひっくり返しはじめた・・・
そして石を「コロッ」と見事に転がし、石の下にいた虫を食べます。 2002.04.24 三番瀬

キョウジョシギは力が強く、石や木片をくちばしで ひっくり返して虫などを食べるので、
英語名でTurnstoneと名付けられています。
キョウジョシギは二枚貝を くちばしで難なく開く器用者
掻くオオハシシギ
二枚貝の殻(から)を くちばしで 上手に開いているキョウジョシギ。
二枚貝に、くちばしを射し込んで、くちばしを開くようにして貝殻を簡単に開きます。
掻くオオハシシギ 掻くオオハシシギ
貝の身を引っ張り出して食べているキョウジョシギ
今度は、干潟の泥砂の中からゴカイを引っ張り出した 2002.04.24

キョウジョシギも旅鳥。

冬は、
赤道周辺の各、越冬地に渡って越冬し、
夏は、
ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北極圏、環極地方に渡って繁殖をします。

渡りをする鳥は、一気に繁殖地・越冬地間を渡る訳ではなく、中継地に立ち寄ってから目的地に渡ります。
春、暖かくなると越冬地を去って、日本(中継地)に立ち寄り、繁殖地へ渡ります。
秋、繁殖を終えると繁殖地を去り、日本に立ち寄って、越冬地へ向かう渡り旅をします。
秋は
8-10月、春は4-6月、一年に二度、決まった時季に渡りをしている「旅鳥」です。

旅鳥は中継地に立ち寄って、貝やゴカイなどをたくさん食べてエネルギーを補給し、次の目的地に旅立ちます。
南半球から北半球の間を渡る旅鳥や渡り鳥にとって、世界の干潟は彼らの共有地なのです。
また、海洋ではクジラ、サケ、カツオなど、陸上ではヌーなども旅をしています。

キョウジョシギ同士 貝をめぐって争奪戦
貝を食べていたキョウジョシギ(右)の貝を奪おうと走って行く(左)
向かいあって、くちばしで突っつき合う威嚇がはじまった。
旅鳥が立ち寄る中継地は、次の目的地への渡りに備えてエネルギー補給場所。 どの鳥たちもエサとなる貝が欲しい!
あまりにも強い攻撃にたまらず、元々いたシギは飛び上がった
さらに、しつこい攻撃をされて飛び上がった
あきらめて逃げるまで威嚇はつづいた
とうとう貝を奪い、からだの下に隠し、なお威嚇する...
遠ざかるまで威嚇して、貝を食べはじめた。

三番瀬には たくさんのアサリがいますが、ちょうど満潮時で鳥たちは陸寄りにいました。

陸に近い場所は貝が少ないため、それを奪い合う争いです。
干潟には多くの種類の生物がすんでいます。

人も鳥も それらの生物を利用して生きているので、その生物が絶滅しないように、川や海にやさしい排水をすることも心がけなくては...


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