メダカを含む生物が絶滅に追い込まれている原因
1. 人間の活動や開発が、一方的に種の減少・絶滅、生態系の破壊・分断をひきおこしている。
捕獲・乱獲・採取による個体数の減少、森林の開発、埋め立てによる破壊、汚染した排水による生態系の破壊などが、
これにあたる。 日本に生息・生育する脊椎動物、維管束植物の2割が絶滅危惧種となっている。
2. 長い年月、人手が入ることによって生物多様性のバランスを保ってきた里地里山は、
人間が干渉しなくなったことで、かえって危機を迎えている。
絶滅危惧種のほぼ50%は里地里山に生息し、わたしたちが昔から親しんできたメダカまでもが絶滅の危機になった。
3. 移入種(外来種)や科学物質による影響。
近年、マングース、アライグマ、ブラックバスなど、人間によって外国からもちこまれた種が、
地域固有の生物や生態系にとって大きな脅威となっている。
侵入種の影響は、幼体をミドリガメというミシシッピーアカミミガメや、マングースや、ブラックバスの場合は
日本の生物種を捕食し、タイワンザルの場合は在来種のニホンザルとで交雑種をつくり、ノヤギの場合は植生破壊など、
さまざまであるが、絶滅危惧種には、これらの移入種による悪影響をうけているものが少なくない。
ビオトープや水槽の動植物が不要になった場合について
不要になった動・植物を自然界や公園の池などに放さない。
たとえば、飼育していたメダカと、もともと川などにいるメダカは一見同じように見えるが、遺伝子型が異なるため、
川などに放流した場合、これら両方の遺伝子を受け継いだ子孫に交雑種が産まれる結果になる。
そのため、不要になった動植物は、自然を乱すような放流は行わないように注意する必要がある。
また、化学物質のなかには、PCB、DDT、ダイオキシンのように、動物に対して毒性をもつほか、
環境中に広く存在するため、生態系や生体内ホルモン作用への影響が懸念されているものがある。
汽水・淡水魚類の絶滅は、対象魚約300種に対し、絶滅3種、絶滅危惧種76種で、25%以上が絶滅危惧種である。
1. 絶滅防止と生態系の保全
・絶滅のおそれのある種については、生息環境の改造や増殖などによって、その個体数を回復させるための
取り組みをさらに進め、また、身近にみられる種が絶滅に向かわないよう、地域指定などの予防的対策を進める。
・重要な森林や、さまざまな影響をうけやすい干潟などの湿地については、生態系を守るために十分な規模と
適切な配慮の保護地域を設け、こうした保護地域を中心に森林や水系の連続性を保つなど、
国土全体で生態系のネットワークづくりを進める。
2. 里地里山の保全
・奥山地域と都市地域の中間に広がる里地里山は、国土の4割を占めている。
水路や溜め池、里山林や田畑など、人間と自然のかかわりがつくり出した変化に富んだ自然環境をもつ里地里山は、
絶滅危惧種の50パーセントが生息する生物多様性のうえで重要な地域である。
・里地里山は、農業など生産や生活と深くかかわって成立しているため、地域住民やNPOも参加した
里山再生事業の実施、里山管理協定制度の推進など、地域の実情に応じたきめ細かい対策を強化する。
3. 自然の再生
・開発によって破壊されつつある国土の生態系を健全に甦らせていくために、
損なわれた河川、湿地、干潟、里山などの自然を積極的に再生、修復する自然再生事業を進める。
・自然再生事業は、開発の際に損なわれた自然環境を単純につくり出すといったことではなく、
それまでの人間による影響をていねいに取り除き、過去に失われた自然を取り戻すことを通して、
地域の生態系が自己回復できる活力を取り戻すための事業である。
おもに市街地・造成地などからなる市街地では、野生生物の種数が少なく、自然環境が質量ともに乏しい。
近年、地域・学校などによっては、生物生息空間(ビオトープ)となる自然環境の整備などによって、
生物多様性の質を高める取り組みが進められている。
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