三番瀬(Sanbanze)と 谷潟  水地帯・河川流水の鳥

ヒドリガモ アメリカヒドリ

ヒドリガモの飛翔 ヒドリガモ
ヒドリガモの飛翔、翼の雨覆が白いのはオス 2000.11.11
オス冬羽  谷津干潟
ヒドリガモ
種 名 カモ目/カモ科/ヒドリガモ 緋鳥鴨 Anas penelope European Wigeon
時 期 冬鳥。北海道では冬すくなく、春・秋に多い。
形 態 L 490mm 嘴峰29-38mm 翼長220-272mm  尾長98-120mm ふ蹠35-40mm.
    雌雄異色。 夏冬異色。
    オスは、前額から頭央まで黄白色。 喉は黒く、頭と頸部は栗色。
    胸はブドウ色で腹は白く、下尾筒は黒色。翼の雨覆は白色。 嘴は青灰色で先端が黒色。
    メスは、上面が茶褐色で、羽の縁が黄褐色。 下面腮、喉、胸、脇は赤褐色で、腹は白い。
    鳴き声: オスは「ピウー」 メスは「ガーガー」と鳴く。 
生   態
分 布 旧北区。
    ユーラシア大陸の高緯度地方に広く繁殖し、冬はアフリカ大陸の西・東に渡って越冬する。
    日本では、全土に渡来して、9月から翌年、春(3-4月)まで越冬する。

生息地 冬は、ゆったりと流れる河川、ダム湖、湖沼、内湾などで生息する。
    極地、亜寒帯の繁殖地では、森林地帯・ツンドラ地帯の湿地で、大小の淡水系湖沼が多いところで見られ、
    中栄養の水系を好む。
採 食 植物食。
    冬は、浅い湖面や河川の流水部で泳ぎながら、嘴でついばんで採食する。
    日中でも盛んに採食する。
    浅い水中の潜って水草を採食するバンや、首を水中に入れて水草を採食するガン・ハクチョウなどの周辺に集まり、
    浮上してきた水草を拾ったり、奪ったりして食べる。 養殖場の海苔を食い荒らすこともある。

繁 殖 繁殖期は、4-5月。 一夫一妻。 つがいで分散し、コロニーはもたず、抱卵期につがいを解消する。
    巣づくり: メスのみで巣をつくる。 水辺の草むらなどの窪地に巣材の草の葉や茎を敷き、皿形の巣をつくり、
    メスが自分の綿毛羽を巣に敷き、産座をつくる。
    産卵: 1巣卵数、6-12個。
    抱卵: メスのみで抱卵する。
    孵化: 孵化日数、24-25日ほどで孵化する。 孵化した雛は、幼綿羽に覆われた早成性の離巣性。
    育雛: 母親だけで雛への給餌をして育てる。 雛は生後、40-45日後、親元を離れて独立する。

    冬は25羽以上の群れで生息するこが多い。 ときには数百羽の大群にもなる。
    越冬中、求愛のグループディスプレイをして、つがいが形成する。
    ディスプレイは、オスが首を縮め、嘴を斜め上方に向け、「ピウー」という声で叫びながら翼を上げ、
    次列風切羽の白色をメスに誇示する。 この行動は威嚇のポーズににている。
写真左上 求愛のグループディスプレイ(コガモ参照)

写真上 ヒドリガモのオス 翼下、腹部は白い。
満腹状態、そんなに太って飛べるかな?、とメスが気づかっているが、オスの風切羽の白色をメスに誇示するディスプレイ。

写真左 メスが首を斜め上にあげ、翼を逆立てて威嚇のポーズ。

アメリカヒドリ
アメリカヒドリ成鳥♂  2004. 3. 3
アメリカヒドリ
種 名 カモ目/カモ科/アメリカヒドリ アメリカ緋鳥 Anas americana American Wigeon
時 期 冬鳥。 日本では渡りのコースから離れているため、希に渡来する。
形 態 L 480mm 嘴峰33-39mm 翼長235-266mm  尾長86-120mm ふ蹠36-42mm.
    雌雄異色。 夏冬異色。
    オスは、前額から頭央まで灰色。
    眼の周囲から後頸にかけて金緑色の幅広い帯がある。頭頸部は灰白色で、黒い斑が密にある。
    上面・胸・脇は褐色を帯びた灰色で、細かい模様があり、腹は白。
    下尾筒は黒く、三列風切は長く後方にのびている。 雨覆は白。 嘴は灰色で先端が黒い。
    メスは、ヒドリガモの♀に似ている。
    鳴き声: オスは「ピュウー ピュウー」と2声で、メスは
「ガー ガー ガー」と3声で鳴く。 
生   態
分 布 新北区分布型。
    北アメリカ大陸北部で繁殖し、冬はアメリカ大陸南部や中央アメリカに渡って越冬する。
    日本では、渡りのコースから離れているため、希に渡来して越冬する個体もいる。

生息地 冬は、幅広い河川、ダム湖、低地の湖沼などで生息する。
    極地、亜寒帯の繁殖地では、森林地帯・ツンドラ地帯の湿地で、大小の淡水系湖沼が多いところで見られ、
    中栄養の水系を好む。
採 食 植物食。
    冬は、浅い湖面や河川の流水部で泳ぎながら、嘴でついばんで採食する。
    日中でも盛んに採食する。
    浅い水中の潜って水草を採食するバンや、首を水中に入れて水草を採食するガン・ハクチョウなどの周辺に集まり、
    浮上してきた水草を拾ったりして食べる。

繁 殖 繁殖期は、4-5月。 一夫一妻。 つがいで分散し、コロニーはもたず、抱卵期につがいを解消する。
    巣づくり: メスのみで巣をつくる。 水辺の草むらなどの窪地に巣材の草の葉や茎を敷き、皿形の巣をつくり、
    メスが自分の綿毛羽を巣に敷き、産座をつくる。
    産卵: 1巣卵数、6-11個。
    抱卵: メスのみで抱卵する。
    孵化: 孵化日数、24-25日ほどで孵化する。 孵化した雛は、幼綿羽に覆われた早成性の離巣性。
    育雛: 母親だけで雛への給餌をして育てる。 雛は生後、40-45日後、親元を離れて独立する。
植物質を採食するアメリカヒドリ♂
写真左上はヒドリガモのつがい。 右下はアメリカンヒドリ。
アメリカンヒドリ(左)とヒドリガモの採食
アメリカンヒドリとヒドリガモ
ヒドリガモ × アメリカヒドリ
ヒドリガモの番
写真左は、下がヒドリガモのメス。 上がオス。
しかし、オスの側頭部に緑色の羽毛があります。
このオスは、異種(アメリカヒドリ)との交雑種個体で、
国際結婚?です。

オスの側頭部にある緑色の帯は、個体によって緑色の出かたが異なります。

カモ類の交雑個体
尾脂腺の脂を塗って羽づくろい 2000.11.18 谷津干潟
カモ類の交雑個体

自然界で、異種と交雑する個体は少ないのですが、カモ類には近い間柄の種と交雑する個体が多く見られます。
種のヒドリガモの頭には、緑色の羽毛はありませんが、写真のようにオスの頭に緑色の羽毛が観られるのは、
アメリカヒドリ( Anas americana American Wigegon )と
ヒドリガモ(Anas penelope European Wigeon)の交雑個体です。

シベリア東部のヒドリガモ繁殖地にはアメリカヒドリが多く、ふつうに交雑が行われている。
ロシアの鳥類学者(コンドチェフ博士)


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