ライチョウについて
ライチョウ 7属16種の世界分布
特徴、行動、鳴き声など
ニホンライチョウ、蝦夷雷鳥
だんまりウサギは雷鳥
雷鳥の名の由来
生息数

自然環境保全


 雷鳥の1年間の行動を
  写真と詳しい解説

1 ページ
雷鳥の一日の始まり
春の彼岸過ぎ 冬羽から夏羽へ
3月下旬 縄張り・巣づくり
繁殖期のオスの羽毛・婚姻色
オスの赤い肉冠
警戒の見張りをするオス

2 ページ
侵入オスを見つけて飛び立つ
空中戦へ発展
メスのもとへ戻る

3 ページ
求愛のディスプレイ
 動 画
4月上旬 - 5月上旬頃
つがい固定化、
 寄り添うオスとメス

休息の雷鳥
捕食と休息、ツガイのねぐら

4 ページ
交尾・巣・産卵
メスの肉感
6月上旬頃 交尾
雷鳥の巣 材料、大きさ
雷鳥の卵
 卵の大きさ、卵の色、卵の数
 卵の重さ、孵化日数

6月上旬 抱卵
7月上旬、最後の卵を産卵

5 ページ
抱卵期のメス
砂浴び
羽の手入れ
採餌

6 ページ
孵化後の卵殻
7月下旬 雛の誕生
雛の大きさ、鳴き声、生存率
育雛
天敵、疑傷行動、つがい解散
10月上旬から冬羽へ
四季別の換羽(衣がえ)
厳冬期の雷鳥

著作権物の利用について、
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ご一読ください。


 ライチョウ・雷


ライチョウ 雷鳥 Lagopus mutus Rock Ptarmigan

ライチョウの生態

種 類  キジ目/ライチョウ科/ライチョウ/ニホンライチョウLagopus mutus japonicus
     
(日本にすむライチョウは、Lagopus mutusの最南亜種)
時 期  留 鳥*
全 長  約 360mm
分 布  全北区、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の高緯度地方。環極地方。
     日本では中部山岳の高山(妙高山塊、飛騨山脈、乗鞍山塊、御岳山塊、赤石山脈など)
生息地  極地や山岳のツンドラ地帯にすみ、日本では標高 2,400メートル以上のハイマツ帯。
     冬は、いくらか標高の低い森林帯に入ることがあり、雪洞に入ることもある。
行 動  繁殖期は、つがいで生活。
     ふつう日中はイヌワシ、クマタカ類などを警戒してハイマツの中で生活し、
     朝夕や悪天時には開けた場所で採食。
     繁殖期のオスは縄張りへの侵入個体を見張るため、晴天でも岩の上に よくいます。
     冬は群で積雪の少ない谷間などの場所で生活。
特 徴  体形は、ずんぐりとしたニワトリ型の鳥で、雌雄異形・異色でもキジ類ほど著しくない。
     嘴は、キジの嘴に似て比較的短く、嘴峰が丸い。
     鼻孔は、羽毛に覆われている。
     脚は、キジ類より短く、オスに蹴爪がない。キジ類と著しい違いは脚に羽毛を持つこと。
     採餌は、消化しにくい樹木や草の葉、新芽、果実を食べるため、
     鳥類としては大きい盲腸があり、同じ菜食者のキジ類より大きい。
     夏羽の成鳥オスは、額、喉、腹、翼の大部分は白く、他は黒褐色。
     夏羽の成鳥メスは、翼の大部分と下腹部は白く、他は黒褐色、橙褐色に白色の斑点模様。
     冬羽のオス・メスは、ともに全体が白くなり、尾羽は黒い。オスには黒い過眼線がある。
つがい  一夫一妻制、なかには一夫多妻制。
鳴 声  オスは「ガァァォォー」と、しわがれ声で鳴く。ライチョウの鳴き声 QuickTime
     メスは「クックックッ・・」と鳴く。
産卵数  5〜7・10卵
絶滅指標 絶滅危惧 II 類 (VU)

* ライチョウは生涯を通して、ごく一点から移動しない留鳥。


高山に取り残されたライチョウの種
 雷鳥は特別天然記念物、自然環境が厳しい標高 2,400メートル以上で生息する高山鳥。
極地では海岸線でも生息。

 ライチョウの学名は Lagopus mutus。
ライチョウ類はキジに近い地上性の鳥で、北半球だけに生息し、現在、世界で7属16種
ライチョウ科の鳥は、5千万年前に出現したキジ目が、
          3千万年前にキジ科と別れた。

3億〜2億年前、 大陸は「パンゲア」と呼ばれる一つの超大陸を形成。
1億7000万年前、パンゲアは分裂を始め、北と南の大きな2つの大陸に分離。
北の大陸は「ローラシア大陸」、現在の北アメリカ、アジア、ヨーロッパ 。
南の大陸は「ゴンドワナ大陸」、アフリカ、南米、オーストラリア、南極大陸、インドなど。
ローラシアとゴンドワナの両大陸はその後も分裂・移動を続け、現在の地形に。

ニホンライチョウを含むライチョウ種は、ツンドラから亜寒帯の山地を中心に分布し、
ピレネー山脈やヨーロッパの山脈に分布。 雷鳥の生息地として日本は最南限。
北半球だけに広く分布するライチョウは、地域によって形質が異なるため、それぞれが亜種。

日本には本州中部山岳の高山にすむ最南限亜種のニホンライチョウ Lagopus mutus japonicus
北海道の森林にすむ別属のエゾライチョウ
Bonasa bonasia vicinitas の2種がいる。

 陸上に生息する動物は、陸続き・同環境であれば同種の動物は分布域を広げ、
大陸が分断すると、種は分断されたそれぞれの陸上で、独自に進化していくため、
時間経過とともに「最南限亜種ニホンライチョウ」のように、異なった種が現れます。

2万年前の氷河期、雷鳥は日本と地続きだった大陸の北方から本州まで南下したが、
1万年前、気候の温暖化にともなって氷河期が終わるとともに、北方へ、
あるいは北方の気候と似た気候をもつ高山へと生息域を移動しました。

 生物は環境の変化が起きれば、移動するか進化して絶滅をのがれます。
環境の変化で、移動も進化も絶滅もしなかった「生きている化石」の語源であるカブトガニは、
2億年前、すでに進化をしていました。
一方、進化をしなかった
ライチョウは高山へ移動し、そこに取り残され、生きのびました。
今後の環境変化によって、
進化もせず、行き場所がないライチョウは、
絶滅に追い込まれないとはいえません。

Lagopus mutusの意味
Lagopus (ラゴプス) は、「ウサギの足」の意味で、
Mutus (ムトゥス) は、低い声でしか鳴かない「だんまり」を意味していて、
Lagopus mutusは「だんまり ウサギ」という意味です。

雷鳥がウサギの足である訳
自然環境の厳しい高山にすむ氷河期の生き残りである高山遺存種。
そのライチョウの足の爪以外が、防寒の温かい深い羽毛に覆われていて、
ウサギの足に見えることからライチョウはLagopus mutus。
ライチョウの脚が羽毛に覆われていることは、キジ類と著しい異形。

雷鳥の名の由来
 ライチョウは『らいの鳥』として、西暦1200年頃の記録に残っているそうです。
日本名で「雷鳥」と書くのは、雷よけ火災除けの鳥とか.....
天敵から身を護るために、霧や雷雨で視界の良くないときに出てくることから雷鳥と書き、
古代山岳信仰者は雷鳥を『神の使者』ともいう.....
「山は神々が鎮座する霊山」といった古代山岳信仰は、霊山にすむライチョウを「霊鳥」、
あるいは「神の使者」として、信仰と結びつけていた。

明治43年 「保護鳥」に指定されて狩猟禁止
大正12年 「天然記念物」に指定
昭和30年 「特別天然記念物」に指定
昭和40年 「特殊鳥類」に指定

ニホンライチョウの生息数は、日本で3,000羽ほど。
立山周辺での生息数は1981年 240羽ほど、1996年 330羽ほどを確認。
2001年現在、167羽
(富山県と環境省が5年ごとに行なっている棲息調査)

 雷鳥 (ライチョウ) の生活の写真ページへ 写真と詳しい説明を掲載しています。

出版・報道は、撮影地名・観察地名の明記は、やめましょう。
現在、生物とその生息地域の環境を保護するために、
雑誌、図鑑などで生息地名・撮影地名を記載していません。
その趣旨からも、どこから撮ったことが判明できる特定の建造物や、
山などを入れた雷鳥の写真を公開しない配慮が必要。
ライチョウの生息地・撮影地を明記して出版した本は、
生物の保護に逆行した編集者の無神経さを宣伝。


美しい自然を保護し、野生生物を守りましょう!


雷鳥が減ってゆくのは、環境が自然に変化する場合と、人による破壊です。
自然環境を大切にしなくてはならいことは、皆さんご存じです。
 たとえば、「自然をまもろう」とか「雷鳥の保護にご協力してください」という言葉に
「わかった」と うなずかれることでしょう。
 しかし、雷鳥に出会ったとき、あなたは、どうなさいますか・・・?

2,400メートル、あるいは、2,700メート以上の高山でも交通機関によって人は簡単に入れ、観光客にも雷鳥が見られます。
 そのとき、雷鳥に出会ったら...

1. 立入禁止区域内に入ったり雷鳥を追うのは、やめましょう。
   雷鳥を追いかけまわし立入禁止区域内に入り、撮影している心ない人を見かけます。
   「わたし一人くらい」という身勝手な撮影はやめましょう。
   チングルマという高山植物は、30年の歳月を経ても木の高さ10cmほど、幹周りがマッチの軸ほどの木です。
   高山帯には、踏みつけに弱いお花ばたけがあります。
   踏みつけて植生を破壊することは、そこに住む雷鳥の生活圏を破壊してしまいます。
   また、親子の雷鳥を追って子どもの雷鳥がはぐれた場合、
   天敵のオコジョ・キツネ・テン・ワシ・タカなどにやられて危険です。

2. 登山者や観光客の残飯やゴミは、必ず、持ち帰りましょう。
   残飯に集まるキツネやカラスなどは、ヒナや卵を捕食します。
   残飯やゴミは、そこに残さず、ひとり一人が必ずゴミを持ち帰りましょう。

3. 雷鳥に食べ物を与えないでください。
   ニワトリの卵を雷鳥が食べて下界の病気が感染した場合、雷鳥には免疫がありません。
   伝染し、たちまち死滅してしまいます。 雷鳥が自然の中で餌を探し、採餌することが自然です。
   可愛さのあまりに食べ物を与えるのは、やめましょう。 餌を与えないほうが愛・親切になります。

4. どんなに可愛くてもペットの持ち込みは、やめましょう。
   下界の病気が感染した場合、雷鳥には免疫がありません。 また、野生動物がおびえます。

5. 出版・報道は、撮影地名・観察地名の明記は、やめましょう。
   
現在、生物とその生息地域の環境を保護するために、雑誌、図鑑などで生息地名・撮影地名を記載していません。
   その趣旨からも、雷鳥とともに特定の建造物や、借景にどこから撮ったことが判明できる山などを入れた写真を
   公開しない配慮が必要です。
   
ライチョウの生息地・撮影地を明記して出版した本は、生物の保護に逆行した編集者の無神経さを宣伝。


 雷鳥が子育ての時期に夏スキーヤーや観光客が雪渓やお花畑を独占し、野生の動物が精神的におびえる悪影響もあります。
 立山、乗鞍岳、上高地・・・などで、花を摘んでいる人も見かけます。
枯れ葉一枚の持ち帰り、また、石ころの移動など、上高地では禁じられています。
花を折る、摘む、踏む・・・こういう人は、山に行く資格はありません。

 カメラマンも立ち入り禁止区域内、抱卵・孵化時の巣には、絶対に入らないことです。
みなさんと同じ場所でいい写真を撮ってこそ、質の良いカメラマンです。

 プロカメラマンの水越武さんの写真集「雷鳥」には、「シャッタ音で飛び立たせてしまった。」と、
それだけでのことでも、「雷鳥に気配りが欠けていた」という意味のことが書かれています。
 立山で「日本の自然」雷鳥を撮影中の
某テレビ局さんと水越武さんと一緒になったとき、
水越さんは、私の右隣でした。ライカで 静かに撮影していました。
 ライチョウに限らず生物への思いやりがあるからこそ、ストロボを発光させたり、脅かすことなく、
常に生物への気配りをし、プロの技量で優しく撮影していました。 
夜間、ライトを照射し、ストロボを使った撮影など、もってのほか・・
自然を愛する人のすることではありません。

 また、現在、生物の生息地域環境を保護するために、図鑑などで生息地名・撮影地名を記載していません。その趣旨からも、
雷鳥とともに特定の建造物や、借景にどこから撮ったことが判明できる山などを入れた写真を公開しない配慮が必要。

人が生物の生活に進入して邪魔をし、「撮らせてもらっている」という気持ちでの撮影を私は大切にしています。

 このページをごらんになっていない方にも、何らかの方法で、これらのことが広く伝わり、
一人でも多くの方が、自然を大切にされることを願っています。
かけがえのない貴重な自然を次世代へ遺すために。

 美しい自然を大切にして、自然を永遠の友にしましょう。

 雷鳥の生活写真と解説のページへ


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