2001年、観察できたウミガラスは、岩棚の7羽、泳ぐ3羽、岩の上の5羽、
合計15羽のウミガラスを観察。
天売島のウミガラスが消える日???
天売島のウミガラスが 40,000羽から13羽に!
99.9パーセント以上も消えた 絶滅の危機に追い込んだ
1938年には40,000羽以上もいたウミガラスが 2002年(平成14)は13羽に瀕し、
四千分の一に激減! 絶滅の危機!
ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い、絶滅危惧 1A類 (CR)。
天売島のウミガラスが、99.9パーセントも激減した訳
『1960年代から70年代にかけて島周辺で盛んに行われた[サケ・マス流し網]漁業による混獲で、
おびただしい数の潜水名選手であるウミガラスが犠牲になりました。
ウミガラスは水中で両翼を羽ばたかせながら水中飛翔し、横方向にも魚を追うため、
海鳥の中でもっとも漁網にかかりやすい特性があり、その犠牲になりました。
もう一つは、天敵のオオセグロカモメや、島民・観光客が出すゴミに集まるハシブトガラスが増え、
繁殖群が縮小して集団防衛できなくなったウミガラスは、卵や雛を捕食されやすくなったことなど。
100羽しかいなかった天敵のオオセグロカモメが、2,000羽に増えたことも一つの原因です。』
オロロン鳥のみならず、ケイマフリ、ヒメウ、ウミネコなども減少している原因は、
海鳥の天敵(野良猫やカラスなど)が増え、卵やヒナを襲う。
海鳥の繁殖地と漁場が同じなので、延縄漁の仕掛けや、他の漁具で犠牲になっている。
沿岸海域の油汚染。エサとなる魚を乱獲や減少で海鳥が餓死。プラスチック投棄、ゴミ類で汚染など。
観光客によるマナーの悪さも挙げられる。
しかし、アイスランド・ウエストマン諸島やサハリンには、数十万羽というウミガラスが生息している、
ということは、天敵の害よりも人為的によってウミガラスや他の生物の食糧を乱獲絶滅・減少させたため、
ウミガラスが絶滅の危機になった。それは次の経過で裏付けられます。
1938 昭和13 天売島が海鳥繁殖地として、国の天然記念物に指定。 ウミガラス40,000羽。
1956 昭和31 ニシン凶漁、以後ニシン漁業消滅。 ウミガラス激減。
1963 昭和38 鳥類研究者 天売島海鳥調査実施。 ウミガラス8,000羽。
1960年代から70年代にかけて島周辺で盛んに行われた[サケ・マス流し網]漁業による混獲で、
おびただしい数のウミガラスが犠牲になった。
1972 昭和47 環境庁、天売島のウミガラス1,117羽と報告。 焼尻天売への観光客約5万。
1980 昭和55 ウミガラス 553羽。
1980年代から食糧難のトド、アザラシなどが[カレイ・タラの刺し網] を食いちぎる。
1982 昭和57 天売島、国設鳥獣保護区に指定。
1986 昭和61 ウミネコ 60,000羽。
1990 平成 2 屏風岩にウミガラスのデコイ設置して、ウミガラスを呼び戻さざるを得なくなった。
2000 平成12 ウミネコが半減し、30,000羽に。
2001 平成13 コオナゴが不漁、コウナゴを捕食するホッケが不漁。 コウナゴを捕食するウミガラス21羽。
2002 平成14 ウミガラス13羽で絶滅の危機。
2004 平成16 観察史上初、ウミガラスは繁殖数0羽になった。
2005 平成17 2年連続、ウミガラスは繁殖数0羽。 さらにウミネコの繁殖も0羽となった。
天売島のウミガラスが減った原因の一つに、1960年代から70年代にかけて島周辺で盛んに行われた
[サケ・マス流し網]漁業による混獲で、おびただしい数のウミガラスが犠牲になったが、
それ以前のニシン乱獲によって凶漁となった時期と、ウミガラスが激減した時期と一致すること、
魚類を乱獲した結果、魚を捕食する海鳥や海獣も食糧難になっいることは、上記の歴史から理解できます。
『天売島から海鳥が消える日』
天売島の西海岸は100メートル以上の断崖絶壁。その地形から島には元々肉食獣はいなかった。
また、暖流域に浮かぶ天売島沿岸は魚が豊富なので、海鳥の餌となり、彼らの繁殖に適した、
豊かな自然に恵まれていた。
しかし、人の勝手で飼い猫を捨て、そのネコが野良猫化して海鳥を襲っている。
海鳥の繁殖地で漁業を営み、魚を減らして海鳥を餓死させ、また、漁網による混獲の犠牲にしている。
捨てたゴミに集まるカラスが、野鳥の卵やヒナを奪う・・・それらは全て自然現象ではなく、
人の生活の都合によって生じた人工的自然破壊から生態系の破壊を起こしている。
人と自然とが調和のとれた共生・共栄しなければ、やがて「天売島から海鳥が消える日」が訪れる。
過去、北海道ではニシン漁の乱獲で「ニシン」の姿を消した。
にも関わらず、次から次へと生物を乱獲や漁網の犠牲によって、減少に追い込んでいる。
いま、保全の手を打たなければ「昔は海鳥がたくさんいたのに・・・」ということになりかねない。
既に「昔はオロロン鳥もたくさんいたのに今は、運が好ければ見られる・・・」と、なったのだから。
一度失った自然を取り戻すのは、限りなく不可能に近い。
自然を回復させて、次世代がそれを継続利用できるよう、最優先で海鳥の繁殖地の保全を
真剣にやらなければ、「天売島から海鳥が消える日」が必ず訪れる。
アイヌは、自然の恵みである「生き物」をカムイ(神)からの授かり物とし、
また、カムイそのものとして、食べ残さない量だけを捕獲し、カムイに感謝した。
そして生きることを祈った。
現在、「生き物を利用させてもらって生きている」という、カムイ(神)に感謝を失ったヒトは、
魚に限らず「とれるだけとる」..... 乱伐、乱獲から自然破壊・不漁を招き、
その結果、自ら首を絞めながら豊漁を祈っている。
食べ切れるだけの漁ではなく、どこかで粗末に捨てられている、ものもある。
野生の生物としては、食べ物をヒトに横取り・乱獲されて困っている。
ヒトは何でも食べるが、野生生物には「これ」が無ければ生きられない食べ物がある。
観光を促進することよりも、まず自然環境保全をやらなければ、
「天売島から海鳥が消える日」が必ず訪れ、海鳥がいない天売の観光は成り立たない。
世界的に減少している海獣・海鳥たちは食糧難の被害者!
野生生物に迫った 食料危機!
人の活動がニシンを絶滅に追い込み、トドたちの食料も奪った 天売島の歴史。
天売島に、はやく! ウミガラスの群れが羽ばたいて欲しい。
次ページは、天売島ではウミガラスの数よりも多いケイマフリ。
ケイマフリは世界で生息域、生息数が少ない貴重種の海鳥。
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