seabird
海鳥 INDEX

 海鳥の写真と生態
 
ウトウ(善知鳥)
 ・
ウトウの繁殖地・巣穴
 
5月、産卵・抱卵・採食
 
ウトウの帰巣
 
ウトウの魚を奪うウミネコ
 
餌をめぐって争奪戦
 
雛への給餌
 
天敵に襲われた雛
 ・
夜中に巣立って海へ
 
ウミガラス(オロロン鳥)
 
4万羽いたウミガラスが
  13羽に減った訳
 
99.9 %以上激減し絶滅の危機
 天売島から海鳥が消える日

 
ケイマフリ
 
赤い脚のケイマフリ
 
ケイマフリ群れ飛ぶ
 
ウミネコ
 
天売島のウミネコ半減

 
オオセグロカモメ
 生態・飛翔
 ウミウ、ヒメウ、ウミスズメ
 
岩礁のウミウ
 
西海岸の断崖・岩礁
 百数十メートルの断崖
 
施設・観察
 
羽幌の施設

 
天売島は、
 ツアーで行く島ではありません

天売島・海岸線・岩礁地の鳥

天売島は北海道の北西(北緯44度22分、東経141度19分)に位置し、
苫前郡羽幌町の西方 約28km、島の周囲 12km。島民約400人。
日本有数の海鳥繁殖地、8種20万羽以上海鳥が繁殖.....
西海岸の地形が百数十メートルの断崖絶壁であるため、肉食獣を寄せつけず、
元々この島に天敵となるヒグマ、キツネ、イタチなどの獣
がいなかったこと。
また、天売島は対馬暖流にあり、餌となる魚が豊富であったことなどが
海鳥の繁殖に適していたが、乱獲・混獲により
海鳥の個体数が年々減少する一方。
その反面、ウミウ、オオセグロカモメの個体数は増加している。

島全体は鳥獣保護区、海鳥の繁殖地は天然記念物に指定されているが、
鳴き声が「ウォルルーン おろろー」と聞こえるところから「オロロン鳥」
と呼ばれているウミガラスは、40,000羽から13羽に激減し、絶滅の危機。
野生の鳥類としては近い将来に極めて絶滅の危険性が高い絶滅危惧種
2004年はウミガラス繁殖数ゼロ、
2005年はウミガラスとウミネコの繁殖数ゼロとなった。

世界最大の繁殖地 全世界の個体数の約30%、17万つがいが繁殖
ウトウ Cerorhinca monocerata NO.1/9
ウトウ-1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9
形 態 L380mm W630mm 嘴峰32-38mm
    翼長172-182mm  尾長45-62mm ふ蹠mm.
    雌雄同色。

    夏羽: 嘴は濃いオレンジ色で、
    上嘴基部に10mmほどの突起がある。
    上面、翼、尾は灰黒色で、顔、腮(さい)、喉、頸、
    胸は、灰褐色。眼の後方と腮に白い糸状飾り羽がある。
    腹は白く、腹側は灰褐色。光彩は黄色。脚は暗黄色。
    冬羽: 白い飾り羽と、上嘴基部の突起はない。
    鳴き声:「ウウウウ・・・」

    海鳥の中では中形で、ウミスズメ類の中では大型。
    水中わ泳ぐため、翼は短い。
種 名 チドリ目/ウミスズメ科/ウトウ (善知鳥=うとう)
    Cerorhinca monocerata Hornbilled Puffin

時 期 東北地方南部から北では留鳥、または夏鳥。
    東北地方南部から南では冬鳥。
生   態
分 布 全北区。
    日本海、オホーツク海、北太平洋、カナダの太平洋側などの沿岸に繁殖分布し、冬は海上に広って南下する。
    日本での繁殖地は、北海道は天売島・松前小島・大黒島・ユルリ島・モユルリ島・知床半島に繁殖分布し、
    本州は岩手県椿島、岩手県足島・江島などに繁殖分布する。冬期は、富山県や東北地方沿岸まで南下する。

生息地 繁殖期には、沿岸の孤島や岩礁に集まり(天売島では、17万つがいが繁殖)、日中は営巣地に近い海域(天売島と焼尻島の近海)で見られる。
    営巣地は、島や岩礁が断崖に囲まれていて植生があり、巣穴を掘れる土壌が多くある場所に営巣する。
    非繁殖期は、沿岸から遠くはないが、陸地から見えない距離の海上に生息する。

採 食 夜明け前から日没頃まで、海上で群をつくり、盛んに潜水して海面近くに群れている小魚を採食する。
    群をつくって水中飛翔をし、小魚の群れを追い回して魚群をひとかたまりに集め、嘴で挟み捕る。
    雛に持ち帰る餌は、イカナゴ(稚魚のコウナゴ)、カタクチイワシ、ニシン(漁業乱獲)などで、繁殖地に一日一回、夜間帰巣する。
    非繁殖期には、イカ類を多く採食し、魚、甲殻類などを採食する。

繁 殖 繁殖期は、4-7月。 一夫一妻。 つがいで分散し、コロニーの巣穴の密度は、10m四方に200の巣穴がある(天売島)。
    巣づくり: 雌雄が協力して巣穴を掘って巣をつくる。 古い巣穴も利用される。
        孤島の
断崖の上で、緩やかな傾斜地の木・草地(イタドリ)の根元や、裸地や石の下に、夜間、巣穴を掘る。
    巣穴: 入り口は直径200-300mm、奥行きは1.2-2mほどの穴を掘る。 枯れ草を産座に敷いた巣もある。
    産卵: 1巣卵数、1個。 卵は長径70×短径48mm。
        地色は汚白色で、淡い青グレーや淡い褐色の点斑、線斑が散らばっている。白い無地の卵もある。
    抱卵: 夜明け前から日没頃まで、親鳥は海上で採食するため、夜間、雌雄交代で抱卵する。
        なかには3日間、抱卵を続ける個体もいる。
    孵化: 39-52日ほどで孵化する。
    育雛: 雌雄が雛へ給餌・子育てをする。 給餌は夜間に行われる。
    巣立: 生後、35-50日ほどで巣立つ。

    非繁殖期は、数千-数万羽の群で生活する。
    縄張り防衛は、巣穴の入り口周辺のわずかな範囲だけを防衛する。
    防衛行動は、立ち上がって嘴を上に向けて開くディスプレイをする。
    求愛のディスプレイは、嘴を触れ合うディスプレイを海上で行う。
ウトウの巣穴
ウトウの繁殖地 巣穴は断崖の上

ウトウは、天売島で繁殖する海鳥類のなかで最も多く、
全世界の個体群の約30%、17万つがいが繁殖している。

巣穴は、断崖の上で、傾斜が緩やかな草地(イタドリ)の根元や、裸地に密集しています。
巣穴の密度は、10m四方に200の巣穴があります。

3月、繁殖地に飛来し、古巣を使わなければ.....
   巣穴入り口の直径、200-300mm,
   奥行き1.2-2mほどの巣穴を、夜間に掘ります。
4月、求愛、交尾、産卵、抱卵、
5月、雛が誕生、育雛...
6月、育雛、
7月、夜間、巣立つ。

巣穴
ウトウ巣穴では...子育て
ウトウの抱卵
巣穴で抱卵している親鳥
抱卵日数は39-52日間。

雨風や外敵から卵や雛を守るために、
都合良くできた巣穴です。
朝、10時ごろ、巣穴から出てきた1羽のウトウが海に向かって飛び立つのを見ました。
寝坊のウトウ(?)か、抱卵交代(?) だった
のかも知れません.....
巣穴から海へ
ウトウの求愛
巣穴の上に立ち上がって嘴を上に向けて開き、
縄張り防衛のディスプレイをします。
夜明け前に巣穴から海へ
5月、雛が誕生すると、
親鳥は未明に海上へ出て雛に与える餌を捕り、日没ごろ巣穴へ持ち帰って給餌します。
ウトウの滑空
採 食

夜明け前から日没頃まで、海上で群をつくり、
盛んに潜水して採食します。

ウトウが夜明け前に巣穴を出て海に向かう訳は、
天敵に見つかりにくいため。

採餌のしかたは、ウトウがグループをつくって潜り、
「水中飛翔」をして、小魚を追い回して魚群を取り囲み、嘴で魚を挟み捕ります。


雛に持ち帰る餌は、イカナゴ(稚魚のコウナゴ)、カタクチイワシなど、主に魚類。



親鳥が雛に持ち帰る小魚を狙って、
ウトウの帰巣を待ち伏せるウミネコがいます。


BACK   |  NEXT ウトウの帰巣を待つウミネコ


Home
Contents


Nature Photo Gallery = S.Ochi`s HomePage に掲載の写真・記事の無断転載を禁じます。
すべての著作権は、越智 伸二に帰属します。
Copyright(c) Shinji Ochi. No reproduction or republication without written permission.
著作物の利用について、リンクについて ご一読ください。